INDUSTRIAL PC GUIDE
産業用PCの仕様と選び方
一般PCとの違いを踏まえ、使用環境・形状・I/O・稼働時間・保守・供給期間から、必要な仕様を整理します。
WIRELESS I/O
無線I/Oを伴う場合は、PC仕様と通信仕様を分けて選定する。
産業用PC側では接続I/O、OS・ドライバ、処理周期、ログ、電源、筐体を確認し、無線側では方式、距離、遅延、アンテナ、認証、通信断からの復旧を確認します。
無線I/Oの方式・メーカー・価格まで比較する場合は、検索意図に合わせて分離した産業用ワイヤレスI/Oの選び方をご覧ください。Wi-Fi、LoRaWAN、セルラー、専用無線の使い分け、10項目の比較表、メーカー公式製品例、現場評価手順を掲載しています。
無線仕様は設置環境で大きく変わります。最終筐体に近い状態で、受信レベル、パケット損失、最大遅延、通信断からの復旧時間を測定します。
BASICS
産業用PCは、性能表だけでなく「使い続ける条件」で選ぶ。
産業用PCは、製造装置、検査装置、制御盤、情報端末などに組み込まれ、決められた用途で継続運用することを前提に検討されるコンピュータです。CPU性能や価格だけでなく、設置環境、保守方法、必要なI/O、構成を維持したい期間まで含めて選ぶ必要があります。
一般向けPCが適さないという意味ではありません。使用場所と停止時の影響を整理し、必要な対策だけを仕様に入れることが、過剰設計と不足の両方を避ける近道です。
| 選定項目 | 一般向けPCで確認すること | 産業用途で追加確認すること |
|---|---|---|
| 使用環境 | 室内、空調環境を想定した標準仕様 | 温度、湿度、粉塵、水、油、振動、設置方向 |
| 稼働条件 | 利用時間と更新サイクル | 連続稼働、停止可能時間、再起動方法、予備機 |
| 構成 | 市販構成から選択 | 専用I/O、シリアル、LAN、電源、筐体、取り付け |
| 供給・変更 | モデル更新時に後継機へ移行 | 構成固定期間、部品変更時の評価、長期供給計画 |
| 保守 | 本体交換や標準保証 | 故障解析、修理、データ・設定復旧、現場交換手順 |
必要条件は用途ごとに異なります。防水、防塵、広温度、連続稼働などを一律に付加するのではなく、設置場所と停止時の影響から優先順位を決めます。
8-POINT CHECKLIST
産業用PCを選ぶ8つの確認項目。
候補機を比較する前に、現場側の条件を書き出します。
温度と放熱
周囲温度、発熱源、日射、盤内温度、設置方向、周囲に確保できる空間を確認します。
水・粉塵・湿度
水滴、洗浄、粉塵、油、結露の可能性と、保護が必要な面・コネクタを整理します。
振動・衝撃
装置の可動、搬送、車載、扉の開閉など、運用中と輸送中の振動条件を分けて確認します。
稼働と保守
1日の稼働時間、停止できる時間、ファンやストレージの交換可否、予備機の持ち方を決めます。
I/Oと接続機器
LAN、USB、映像、RS-232Cなどの種類・数・位置と、既存機器との互換性を確認します。
外形と取り付け
盤内、壁面、パネルマウント、VESAなど、寸法、重量、配線方向、作業スペースを確認します。
OSとアプリ
必要なOS、ドライバ、周辺機器、アプリの動作条件と、更新・再評価の方法を整理します。
数量と供給期間
試作台数、年間数量、追加時期、構成を維持したい期間、部品変更時の承認方法を決めます。
FORM FACTOR
パネルPC・Box PC・組み込みボードを選び分ける。
表示・操作・演算部をどこに置くかで、適した形状が変わります。
パネルPC
表示、タッチ操作、コンピュータを一体化。操作盤、検査端末、情報端末など、省スペースと一体設置を重視する用途に向きます。
産業用パネルPCを見るBox PC
表示部と演算部を分けて設置。盤内や装置内部への組み込み、複数画面、I/O拡張、保守時の本体交換を検討しやすい形状です。
産業用Box PCを見る組み込みボード
装置専用の筐体や回路へ組み込む構成。外形、I/O、電源、BIOSなどを装置仕様に合わせたい場合に検討します。
組み込みボードを見るタッチモニター
コンピュータ本体を別置きし、表示・操作部だけを現場へ設置。画面サイズや取り付け方法を優先したい場合に向きます。
タッチモニターを見るFANLESS DESIGN
ファンレスは「保守を減らす設計」と「熱を逃がす設計」をセットで考える。
期待できること
- 冷却ファンという可動部品を減らせる
- ファン交換や吸気部清掃の頻度を抑えやすい
- 吸気による粉塵の持ち込みを減らしやすい
- 動作音を抑えやすい
必ず確認すること
- CPU・電源・ストレージを含む発熱量
- 筐体から周囲へ熱を逃がせる設置状態
- 周囲温度の上限と温度上昇の実測
- 必要性能と消費電力のバランス
ファンをなくせば自動的に高温環境へ対応できるわけではありません。要求性能、筐体材質、ヒートシンク、熱伝導経路、設置方向をまとめて検討し、試作機で温度を確認します。EHTでは、用途に応じたファンレス構成や温度・信頼性評価をご相談いただけます。
REQUIREMENTS
相談前に分かる範囲で整理したい条件。
完成した仕様書は不要です。未定事項を明示すると、確認と提案を進めやすくなります。
- 用途
- 何を表示・制御・検査する装置か
- 設置環境
- 屋内外、温度、粉塵、水、振動、設置場所
- 必要性能
- アプリ、処理量、画面、保存容量、起動時間
- 接続
- 周辺機器、I/O、通信方式、コネクタ位置
- 機構
- 外形寸法、取り付け、配線、表示・操作方法
- 運用
- 稼働時間、停止条件、保守方法、予備機
- 数量
- 試作、初回、年間、追加予定
- 時期
- 評価開始、量産開始、供給を続けたい期間
条件整理
用途と現場条件から、必須・希望・未定を分けます。
構成提案
標準品、カスタム、専用設計の範囲を比較します。
試作・評価
実機で機能、温度、接続、設置性を確認します。
量産・保守
検査、変更管理、追加生産、修理方法を整えます。
FAQ
産業用PC選定でよくある質問。
1台・数台からでも相談できますか。
はい。試作1台や少数の置き換えから相談できます。新規設計の範囲、部品調達条件、継続予定によって現実的な進め方を整理します。詳しくは小ロット対応をご覧ください。
仕様書が完成していなくても相談できますか。
用途、設置環境、必要な接続、台数、希望時期が分かれば、未定事項を含めて要件を整理できます。既存機の写真や仕様書、接続機器の情報も判断材料になります。
既存PCの置き換えや延命も可能ですか。
既存構成、周辺機器、アプリ、保守部品の状況を確認し、置き換え、修理解析、オーバーホールなどの範囲を検討します。すべての機種に対応できるとは限らないため、現物と資料の確認が必要です。
ファンレスPCなら高温環境でも使えますか。
ファンレスかどうかだけでは判断できません。発熱量、筐体の放熱、周囲温度、設置方向を確認し、必要に応じて温度評価を行います。
価格や納期は何で決まりますか。
要求性能、カスタム範囲、試験内容、部品調達、試作・量産台数、供給期間で変わります。必須条件と希望条件を分けると、構成とコストを比較しやすくなります。
CONTACT
候補製品が決まっていない段階から相談できます。
用途、設置環境、必要な接続、台数、希望時期を、分かる範囲でお知らせください。